表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

10

坑道の出口を抜けると、もうそこは半島の南部の森林地帯。
豊かな緑がどこまでも続く光景が広がっている。
陽の当たらない通路の常闇に慣れた目は、外の光の刺激に一瞬眩む。
木々を揺らして音を立てる風が、頬や髪を撫でて通るのを感じた。

領都を発ってからここまで、様々な魔物と遭いながら戦いーーそして、長い坑道の中を隅々まで探索しながら進んで来た。
はじめ明るく輝いていた太陽は、その間にもう彼方へ沈みゆく準備を始めていた。
「少し行った辺りに、休める処がある筈です」
ルインさんが懐から地図を取り出して広げた。
森の中に広がる湖の畔に、野営地があるらしい。
その位置を示す印の横に、領都の軍の紋章も描かれている。
ーー遠征にやってくる兵士が立ち寄る場所なのだろうか。
今回、領王直属の部隊からの任務でこの地を訪れている私達も…そこで休ませて貰う事はできるだろうか。
とりあえず、その野営地を訪ねてみる事にした。

湖に沿って歩いていると…。
水辺の岩陰から、ぐつぐつとくぐもった音が聞こえてきた。
手に長い槍を握り、不意に飛びかかりながら襲い来る複数の影。
直立した蜥蜴の魔物ーーリザードマンの群だった。
相手は二本足で歩き、武器を用いて攻撃してくる。
槍を使ったその攻撃方法は、魔物というより人のそれに近い。
攻撃範囲も広く、向かい来る刃先は素早く鋭い。

けれどもーー相手が熟練の剣士では、それもさして脅威にはならなかった。
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