表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

背後から、一陣の風が駈けた。
私に弓を突き付けていた男が足下を掬われ、派手に転んだ。
一振りの長い影。ーーアツシさんだ。
剣を抜きざま、男の足をそのまま薙いだらしい。
勢いよく抜いた剣からの、力の篭もった一撃は…。男の足から、直ぐに立ち上がる力を失わせていた。
「…覚者様、こちらへ」
ルインさんに手を引かれ、壁に背中を預けるようにその場を下がった。

「ーーアイツら!」
程無くして、少し離れた先からも声が挙がり、複数の足音が向かってくる。

「…ふん。まだかかって来るか…」
盗賊達が、こちらへ駆けつけるより早く。
先手を打って、イージスさんが剣を抜きながら、敵陣の真っ直中へ飛び込んだ。
ーー目にも留まらぬ速さだった。
盾を前方に構えて風を避けながら、足取りも軽く風のように草の上を駆ける。
その姿はとても勇ましく…そして陽の光を受けて輝く銀色の髪を揺らす横顔は、とても美しかった。
これが、数々の戦いを潜り抜けて生きて来た、強く美しい剣士ーー。

「ーー行きます」
イージスさんの後にアツシさんが続き、戦いの渦中に飛び込んで行った。
私もせめて援護をと、杖に手を伸ばした。
けれどそれを、ルインさんがやんわりとした手つきで制した。
「大丈夫ですわ。…ご安心下さい」
言われて改めて見ると、二人の剣士は軽々と敵の攻撃をかわしながら斬り進んでいた。
剣撃を盾で弾かれながら横面を叩かれ、弓を構えた腕を斬られ…。
瞬く間に、盗賊達は次々と地に伏していく。

スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。