表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

5

立っていた盗賊達の数が、殆ど制された時。
ルインさんは私の目を見て小首を傾げ、静かに微笑んだ。
まるで、「だから言ったでしょう?」という風に。
二人は本当に信頼し合ってるんだ…。
感動すると共に、眉間のあたりにつんと温かな刺激が走るのを感じた。
…私は、アツシさんをそこまで信頼出来ていたのかな…。

思わず戦いの光景を遠目で見守る私の頭上に、何かの羽音が聞こえた。
見上げると、褐色の大きな羽。鳥…?

ルインさんが声を挙げた。
「…グリフィンです!」

鳥のように思えたそれは、魔物だった。
鳥の上半身に、獅子の下半身。更には前足は鳥、後足は獅子で長い尾も持っている。
初めて見るその雄々しくも異質な姿に、ただただ驚愕した。
上空から低く高度を下げて滑空してくるその魔物に、ルインさんが片手で私を庇いながら素早く杖を構える。
盗賊達や、イージスさんとアツシさんも戦いを中断して、突然飛来した魔物の出方を伺っている。
私も手に汗握りながら、ゆっくりと杖に手をかけた。

魔物ーーグリフィンーーは大きく羽を一扇し、角度を変えた。
羽を水平にピンと伸ばし、少しずつ加速しながら向かってくる。
ーー目が合った。
「来ます!」
ルインさんに腕を掴まれ、引っ張られるように身を屈めた。
グリフィンがその上を掠め通り、ごうと強い風が体を煽る。
かなり離れてはいたのに、目を開けて居られない。
圧倒的な風圧を、杖を地面について耐えた。

ーーまるで風神が通り過ぎたかのような威圧感だった。
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