表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

ひとまず、嵐のような驚異は過ぎ去った。
…よかった…。
ルインさんと頷き合い、胸をなで下ろした。
「…皆、去ったか。他愛もない」
ーー盗賊達も、騒ぎに紛れて姿を消していた。
華麗に着地したイージスさんは、何事もなかったかのような落ち着き振りで剣を納めた。
とても優美な一連の動作に、ただただ見惚れるばかりだった。

「ーー先を急ぎましょう」
イージスさんが先導して歩き始めた。
その後ろ姿はとても自信に満ち溢れ、しかしながらとても繊細に感じた。
後に続く私達に、彼女はちらと振り向いて一言。
「例え領都の周りでも、決して油断なさらぬよう…」
ーー 彼女の言う通りだった。
はい、と小さく返事をして思わず俯いてしまう私に、ルインさんが微笑みかけてくれた。
「ただ心配しての言葉ですわ。…さあ、行きましょう」
とても柔らかい笑顔だった。

先を歩くイージスさん、その後に私とルインさん。
アツシさんは……その数歩後に遅れて付いてきていた。
さっき、じっと下を見つめて固まっているように見えたのは…気のせいだろうか。
彼の方を僅かに振り向いてみても、いつもと何も変わらないように見える。
一瞬目が合って、何故かどきりとしてつい逸らしてしまう。
これまでも、何処へでも一緒に歩いていたのに。今更…。

新たな旅立ちの朝は、何とも複雑な立ち上がりだった。

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