表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

3

「そうですか。では…」
一拍置いて、卿の声音が低くなる。
「貴殿は、覚者殿に対しては…どういう気構えでお仕えしておられるか?」
思い掛けない質問に、一瞬言葉が詰まる。
ーーけれど、決まっている。私の出すべき答えは一つ。
「私は…従者です。マスターをお守りするのが役目です」
ふむ、と卿は頷き、鋭い視線を私に向けた。
「ーーならば、危険な任務に赴かれる事に…何も思われないのか?…あのような…可憐な女性が」
その言葉に、もしやとーーある考えがよぎる。

…もしや、この方は…。マスターを…?
つい反射的に、視線を射返していた。
沸々と…胸の奥にざわめきが興る。

「マスターは、ご自身で進む道を選んでおられます。ーーだから私は従い、お守りします。如何なる場合でも」
「しかし、心配なのです。…出来る事ならば私がお守りしたい。そう思っても叶わぬ身の上ゆえ、尚更に。貴殿にはお解り頂けぬでしょうが」
ーーああ、やはり。この方の想いは…私と同じ方向を向いている…。
手が自然と拳を握り、視線を合わせていられなくなる。
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