表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

「あの上にも、ありませんでした」
その言葉に、皆神妙な面持ちで先を見遣る。
この先には…荒野とも思える敷地、点在する小屋、そして巨大な要塞。
此処はまだ背の高い建物の陰になっているけれど、先へ進めば隠れるところはない。
敵の目に晒される事は明らかだった。危険さを改めて実感する。
でも…。此処へ来たのは自分の意志。
ーー震える拳をぐっと握った。
「…ごめんなさい。よろしくお願いします」
皆、黙って頷いてくれた。

私達はなるべく目立たないようと思い、なるべく広がらないように縦に並び、そろそろと慎重に進んだ。
「私の後を離れないで下さい」
イージスさんが盾を前に構え、私の前を庇ってくれている。
寄り添うように、出来るだけ歩調を合わせ続く。
その後にルインさん、最後にアツシさんと続いた。
「ーーまずは、あの小屋へ」
振り返らず小声で促すイージスさんに、私も声を潜めて、はいと口に出して返事した。
ーーその瞬間。
轟音と爆風が私達の側で鯊ぜた。
イージスさんが突嵯に私の方へ体を傾け、盾を翳す。
石つぶてが幾らか盾に当たり、まるで楽器のように乾いた音色を奏でた。
「大丈夫ですか…?!」
イージスさんが振り返る。
驚きと恐怖に身が硬くなりながらも、何とか頷いた。
またも轟音。
イージスさんが両足を踏ん張り、空いている腕で私の肩を抱え込んだ。
「…っ…!」
爆風に体が煽られながらも、お陰で何とか踏み留まる事が出来た。

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