表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

10

向こうが先に動いた。
ニヤリと笑い、片手に握った剣を翳し…。
そのままもう片方を大きく上げ、振りかぶった。
何か小袋を、手に握っているのが見えた。
「ーーさせるか!」
イージスさんとアツシさんが、同時に剣を突き出した。

空気を裂く鋭い、斬撃の音。
一瞬の後、魔物の体を刃が貫く鈍い音。
ーーそして、剣が床に落ちる乾いた音。
剣士二人の攻撃を、避ける間もなく受けたゴブリンは…。どす黒い血の噴き出す傷を押さえながら膝をついた。
その大きく裂けた口から、片言の口上が漏れる。
「…コレデ…カッタツモリカ…」
痛みを堪えながらも、クククと低く笑った。
そして、ふらふらとよろめきながら。
窓の方へと後ずさりーー毒々しい言葉を紡いだ。
「…ニンゲンニモ…ハカイ…ノゾムヤツ…イル!…セイゼイコロシアエ…!」
まるで呪いをかけるように。
鋭い眼光をこちらに向けてニヤリと笑い、その体はそのまま後ろへと傾く。
窓枠を越えてゴブリンの体は地上へと落下し…そのまま動かなくなった。

ーー長く苦しかった戦いは、歯切れの悪い幕切れに終わった。

…皆、黙っていた。
外からは兵士達の歓声も揚がっているけれど…すっきりとは胸に響かなかった。
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