表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

「今です…!」
その掛け声を合図にするように、剣士二人が一斉に飛び退く。
ーー稲妻が光った。更に鋭い音に続いて、破裂音。
運が良かったのか、ルインさんが狙っていたのか。
彼女が放った雷は何度か連続で落ち、近くにあった火薬にも落雷が当たりーーサイクロプスの足元で爆発した。
感電して体が痺れ、高く振り上げていた手からは棍棒を落とし。
巨人の身を守る防具の、膝当ての金具が吹き飛んだ。

なす術もなくーーサイクロプスはただ、無防備に立ち尽くすのみとなっていた。
防具の外れた膝下目掛けて、イージスさんが駆け寄り切り刻む。
膝をつき、床に這い蹲るサイクロプスはもはや剣士二人の敵ではない。
私とルインさんも、更に何度か魔法を使い援護した。
場所が悪くとも、相手が動かなければ問題ない。
どうか立たないで…!必死に念じながら呪文を唱え続けた。
けれど、魔物はサイクロプスだけじゃない。
…そう、まだゴブリン達が…。
通路を塞ぐ巨体に、すっかり気を取られていた。

倒れたサイクロプスの陰から、金切り声を挙げながら、ゴブリンが飛び掛かってくる。
「ーーー!」
咄嗟に肩を竦め、身を屈める。
ーー頭上に、手にした棍棒を振り降ろされようとした時。
横から影が割り込んだ。
よく見慣れた、はためくマントと長い剣。
…アツシさん…!
その頼もしい背中にほっとした。
ゴブリンは短い叫びを挙げ…武器を手にしたまま吹き飛び、通路の先に敢えなく転がった。

「ありがとう…」
近寄りながらそうお礼を言った時。
「……寄らないで下さい…。それ以上…」
反射的に足が止まる。
それは呟くような小さな声だったけれど……耳に、胸に、深く突き刺さる。

ーーどうして…⁈

彼はそのまま、戦いへと戻って行く。
私はそこに足を打ち付けられたように佇み、遠ざかる背中から目が離せず…。
目の前で繰り広げられている戦いを、まるで遠くから見ている光景のように感じていた。
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