表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

震える背中にそっと、暖かい感触。
「…覚者様。しっかりなさって下さい」
ルインさんの手。ーーとても優しく、温かい。
その感触に意識が呼び戻されたように、半分ぼやけていた視界がはっきりして見えた。
目の前でまだ展開している、ゴブリン達との戦闘。
二人の剣士はその群を斬り進みながら路を開いている。
そう、ここは戦場。私も皆と一緒に戦わなければ…。
ーー今は、自分の事に構っている暇はないんだ。
ルインさんの方を振り向き、黙って頷いた。

杖をしっかりと握り、再び戦闘に加わる。
とにかくこの場のゴブリン達を倒し、早く内部の指揮系統を崩さないと…。
対峙するゴブリンの群を剣士二人がじわじわと斬り進み、私達二人は魔法で打ち払い。
そのうち、バリスタの砲台も破壊する事に成功した。
これで外の兵士達も、飛び道具の驚異から解放された筈。
此処からもう一度内部へ突入する前に、心配事を一つ減らす事が出来た。
後は、中枢を叩けば完全にこの戦いは終わる……そう信じたい。

通路の奥まった方に、下へ降りる階段へと続く入り口を見付けた。
この建物は、複雑な造りはしているけれど。広すぎる程に広くはない。
…きっと、この先に居る筈…。
イージスさんを先頭に、順に並んでゆっくり降りて行く。
途中、やはりゴブリン達は姿を現した。けれども、狭い通路では固まって襲って来れない。
ゆっくりと慎重に、一匹ずつ確実に倒しながら進んだ。
ーー戦場で群を取り纏めるゴブリンとは、どんな相手なんだろう…。
此処までかなり時間を要したゴブリンの軍勢との戦いを思い、そんな疑問が湧いて来る。
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