表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

10

今回は、教会からの調査員と共にその遺跡へと赴き、委細を報告して欲しいとの依頼だった。
そして何か資料があれば、それも出来るだけ集めて、との事。
「よろしくお願いします」
いつも通りの、恭しい一礼。
「ーーわかりました。どうもありがとうございました…」

お礼と共に返事をし、軽く頭を下げーー去ろうとした時。
「覚者殿。……今夜少し、お時間ございますか」
一歩、目の前へと近付き…少し高さを落とした声音で訊ねられた。

「……お話したい事があります。後程ご足労頂けますか」
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ーー何だろう?…何か重要な事かも知れない。
真剣な眼差しに、詳しい用件は分からないながらも…はい、と答え頷いた。
「…ありがとうございます。では、教会の建物の側でお待ちしております」
「…わかりました。お伺いします」
待ち合わせの場所は、教会…。
やっぱり、今回の任務に関する事かな…?
ーー調査に関して、秘密裏にする事でも?
何にしても。
いつもお世話になっている卿からの頼み、断る理由もない。

約束の時間だけ聞いて、失礼しますと軽くお辞儀し、街へと引き返した。

市街区へ戻り、店を回り…薬草や応急薬など旅の必需品の買い物をして。
宿に戻って、服のほつれかけた箇所の繕いものもした。
昼食が豪華だった分、夕食は宿の部屋で軽い食事を摂った。
それでも今日は時間があったから、たまにはゆっくりお風呂にも浸かった。
外に出る予定はあるけど、日頃温暖なグランシスの夜は、あまり冷え込む事もない。

約束通りの刻限に教会を訪れると……既に待ち人は居た。

時間を守ったつもりだけれど。ゆっくりし過ぎたかな…?
そのまま足を止めずに、小走りに歩み寄った。
「…お待たせして…すみません」
顔が見える距離まで近付き、声を掛けた。
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