表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

11

雰囲気からすると、早めに待っていてくれたように思えるマクシミリアンさんは…。
それでも、いつものように穏やかに微笑んで応えてくれた。

「ーーお気になさらず。勤めを終えてそのまま来たものですから。…わざわざ来て頂き、嬉しく思います」
「…あ、いえ、あの…。お話、というのは…」
思いがけない感謝の言葉に、どこか少し気恥ずかしさを感じて。
軽く俯きながら、それでも何とか上目で顔を伺いながら訊ねた。
ーー夜更けに、このような場所で。きっと…大事な話があるに違いない。

「ーー貴女は…覚者という立場での旅、辛くはありませんか」
「…はい…?」
不意に向けられた質問に、すぐに答えが出て来ない。
一度顔を上げたものの、また俯いて少し考えていると、更に言葉が続いた。
「まさか、貴女のような可憐な方が覚者だとは思わず…。はじめ驚きました。以後、過酷な任務へ赴かれている…。その都度心配でなりません」
「…いえ、そんな…」
ーー任務の指揮官として、労ってくれているのだろうか。
きっと私は、どう見ても"覚者"らしくない筈だ。
…今まで、ちゃんと任務をこなせてきているのも…自分でも不思議なくらいだ。

ーーそう、確かに…。
「確かに辛い時も苦しい時も、あります。けど…」
浮かんでくるのは、いつも守ってくれるあの人の姿。
…そして、助けてくれる仲間。
それに、いつも優しく暖かく接してくれる…沢山お世話になっている人達。
「それでも、色んな人に支えられ助けられて…頑張っていられるんです。マクシミリアンさんにも…いつもお世話になって感謝しています」
ーー自然に出た言葉。
そう、私は一人じゃないから…。

「ーーそれは…覚者殿としてのお言葉ですか…?」
卿は私の目を見ながら、静かな声音で問う。
ーー先程迄の穏やかさが、すっと消えたように思えた。
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