表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

12

「……?」
質問の意味がよく分からず、ただ固まってその真っ直ぐな視線を受け止めているうち…。
更に歩み寄り、手を取り握られた。
予期せぬ暖かな感覚と共に、驚きでどきりとする。
「私は貴女と…上官としてではなく……。伴侶として側に居たい。この手で貴女を守りたいのです」
「……えっ……?」
思い掛けない言葉。耳を疑った。

…この人は…何を…?ーー事態が呑み込めない。
「…あ…、あの…。私は…」
思わず後ずさる。ーー手は離れず、寧ろ強く握られる。
…これは…あの時と…同じ?
…昨晩、報告に赴いた時の…。
足を後退させるものの、卿も離れず付いて来る。
「…私は…彼奴に遠慮するつもりはありません」
「……?!」
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どう云う事…?…まさか…アツシさんの事…?
ーーどうして…。

見詰めあったまま、じりじりと退いた先は…多分、壁。
服越しの背中に、それでもひやりとした石の感触が近付くのが分かる。
徐々に焦りとーー恐れの気持ちが沸き起こる。
「…あの…。待っ……!」
握った手を、そのままぐいと一気に引き寄せられ…。
「ーーー!」
ーー言葉を発そうと開けた口に、唇が押し付けられて。
握られた手を振り解こうとしたり、空いている方の手で相手の体を押し退けようとするも…私の力ではびくともしない。
じわじわとそのまま、壁に背中を押し付けられる。
腕を掴まれたままだった手も、背中に回されーー完全に抱き竦められた形になる。
ぞわりと悪寒が走り、体の力がーーそして抵抗する気力が抜ける。

ーーただ恐くて…そして、悲しくて。

強引な行為に、息も出来ず…苦しくなる。
……でもそれ以上に……心が、苦しい。
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