表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

4

頭の中が真っ白になる。
ーーすぐ目の前に、彼の顔があって。
息が出来なくて。ーー温かくて。

……これは……。ーーこれは……?

彼の閉じられた目がゆっくりと開き、離れる。
「ーー私は…。あなたが思う程…強くはありません…」
目を伏せ、少し陰りのある表情で…彼は自嘲するようにふっと笑った。
そしてまた、マントを翻し去ってゆくーー。

その背中を、潤む視界にただぼんやりと捉えながら見送り。
ひとりになった後も、私はただ暫くその場に立ち尽くしていた。

夜にはすっかり人通りのない、此の場所で。
ーーただ爽やかな夜風だけが…濡れたままの頬を、そしてまだ微かな温もりの残る唇を撫で過ぎていった。


ーー分からない。

いつも考えていた。
勝手で…世話焼かせで…きっと負担だって。
でも、いつも一緒に居てくれる…。それがとても嬉しくて。

私がいつまでも情けないから……。遂に何処かへ行ってしまうの……?
ーー自分のせいだと思いながらも…。
背を向ける彼に、また振り向いて欲しかった。

思い掛けず強く重ねられた唇は……それでも優しく、温かくて。

ーーこんな私でも……。


あなたに愛される資格は、ありますか…?

9d8235b8f16c39474109908abd6981d3_l.jpg

ーー情けない。

負けてしまった。苛立ち、羨望、焦りーー愛しさ。
自身の中に渦巻く想いの奔流を抑えきれなかった。ーー気が付いた時には遅かった。

私の勝手な想いで、あなたを困らせたくなくて…泣かせたくなくて。でも溢れ出しそうで。
ーー遠ざけた。
あなたが幸せになるならと…退いた。


けれどもあなたは…泣いていた…。


ーーこんな私でも……。

あなたを愛していても、いいですか…?

243c27161b6e22017dcfef6399df2506_l.jpg
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。