表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

強く優しい彼に、私はすっかり頼りきりで…。
ーー彼の苦しみなど、ちっとも感じられていなかった。
それなのに、私はいつも助けて貰ってばかりで…。

私は覚者という立場ではあるけれど、とても世界を救えるとは思えない程ちっぽけな人間。
こんな私が…彼に想われているなんて、ほんの少しの考えも持った事がなかった。

ーー彼を好きでいても、いいのかな…。
思わず溜息が出る。

やっぱり…会いたいな…。…ワガママだな、私…。
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「ーーちゃん。…セッちゃん?」
横からの声に気付き、そちらを振り向くと…。
そこには、酒場の店主ーーアースミスさんの、いつも通りの気さくな笑顔。
「さっきから一人でいろんな顔して…。どうしたんだい?」
「……え…?」
……そんなに、様子がおかしかっただろうか。
恥ずかしさで顔がほんのり熱くなり、思わず俯いた。

「遠征、お疲れさん。大変だっただろ?しっかり食べな」
ハーブを混ぜ込んだパンと牛肉のソテー、根菜入りの澄んだスープ、それにオオブドウジュースなど…。
豪華な食事の載ったトレイを机に置いてくれながら、労ってくれた。
「…ありがとうございます」
気持ちが嬉しくて、自然と顔がほころぶ。
軽く頭を下げながら、お礼を言った。
「ーー今日は彼…休みかい?」
「…はい…」

軽く辺りを伺いながらの、何気ないその言葉に。
言葉がーー胸が詰まった。

「…何かあったのかい?」
「……ちょっと……」
アースミスさんにも、伝わったのだろうか。小首を傾げながら腕組みする。
「ーーふぅむ。でも、こないだは楽しそうにしてたじゃないか」
「そう…ですよね…」

遠征に出る前の、川へ出掛けたあの日も。
夜は此処で一緒に食事して…そして次の日会った時には…何かが変わっていた。
…そして、昨日のあの出来事…。
彼の中で、一体何があったんだろう。
ーーあまりに彼らしくない、追い詰められたような行動。

私自身全く分からず、返す言葉が見つからない。
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