表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

5

切り立った岩山から湧き出た水は、低いところへ向かって幾つかの滝となって流れ落ちている。
その麓で、水は川となり…下流に向かうにつれ、静かな流れを湛えている。

川縁へと降りた所で、ハゥルさんが地図と川を交互に見比べている。
地図と景観を照らしあわせて、たまに指差し確認してみている。
そうやって、先へ進めそうな道を捜しているらしい。
「…そちらは滝ですね…。そしてこちらは崖……」

ルゥさんもすぐ傍、その横手から地図を覗き込んでいる。
「ほんとにここ、ちゃんと道在るの?……あっ!」
きょろきょろと結い上げた髪を揺らし、辺りを見回していたルゥさんが動きを止めた。

水源の方に、何か見つけたらしい。
言うなりすぐに、小走りにそちらへ向かっていく。

…そう言えば……。
川へ降りて左、とハゥルさんは言っていた。
けれど、高い段差となった岸辺は確かに進める道がすぐには見つけられなかった。

「ねえ、こっちこっち!」
ルゥさんが手招きする方へ。
すると、一部段差が低くなっていて、向こう岸へ渡れる場所があった。

「滑るから、セッちゃん達はそのままね」
背中を向けながらの、軽い言葉に少し照れながら。
けれどその言葉通り、足元に気を付けて浅い川を渡った。

「ほら、あそこ…」
ルゥさんが指差す方へ、顔を向けながら進む。

大きな滝の梺に、目を凝らしながら近付いてみると。
岩壁に挟まれた暗がりにーーぽつりと人影が浮かんで見えた。

落ち着いた藍色のローブを着たその姿は、はじめ遠目からは分からなかった。
更によく近付いて見てみると、それは…。
どうやら、教会の神官の、ゆったりした着衣。
ーー”教会の調査団”、その言葉を思い出す。

神官が恐々と、引け腰で様子を伺うように覗いているその先には……?
一見、滝しか無いように見える。
「…話を聞いてみましょう」
ハゥルさんが、確認するように一度こちらを振り向いた。
皆、小さく返事しながら肯いた。

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