表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

10

俯く私の顔を、ルゥさんが少し屈んで覗き込んで来る。
「……ふうん。それで?」

声のトーンが、今までより低い。
冷たい言い方のような雰囲気ながらも、彼女の蒼い瞳は強く美しく輝いている。
「ねえ。覚者様を守る為に、私達が居るんでしょ?」
そう言うと彼女は体を起こし、腰に手を当て微笑った。

「覚者様は、ただ無事に居てくれればいいんだから。言葉なんてどうにでもなる!…きっとハゥルが何とかしてくれる…」
「……姉さん……」
最後はぼそりと呟くルゥさんの言葉に、ハゥルさんががくりと肩を落としたように見えた。

「ーーまあ、そもそもそれは全部アツシさんの役目かもしれないけど…ね~?」
「……な……」
急に振り向いて話を向けられ、アツシさんは付いていけず一瞬固まる。
ルゥさんが少し声を潜めて、私に耳打ちするように囁き掛けた。
「ーーアツシさんって、いつもクールだけどさあ……。実は覚者様に、ベ……」
「…ルゥさん!」
「うっ…!ごめんなさい…」
また言い掛けた言葉をアツシさんに強く制され。けれど、謝りながらもクスクスと笑う。

ーー何だったんだろう?
気心の知れたような遣り取りに、自然と気持ちが和んで緊張が緩む。
何だかちょっと可笑しくて、くすりと笑ってしまった。
ーー仲間って、いいな…。改めてそう思った。

先ほどは出しそびれた手を、ルゥさんに差し出した。
彼女もそれに応えて、私の手を両手でしっかり握ってくれた。
そして二人で、笑顔を交わし合った。
「良かった、ありがとうございます!よろしく…えっと…」
笑みを浮かべたまま少し首を傾げる仕草に、私もつられて首を傾げた。
「えーっと……。お名前、聞いてないかも。何て……」
顎に軽く指を当て、瞳がくるくる動かせる。
そしてそこまで言ってルゥさんは、質問先をアツシさんに変えた。
「ねえ、何てお名前だっけ?」
「………」
「え?聞こえない」
「…様…、です」
「ーーほら。アツシさんしか、今答えられないでしょ」
声の小さいアツシさんに、ルゥさんは尚も訊ねる。
そして、その顔はーー心なしか笑っている。
「……セツナ様、です」
「もういっかい」
「セツナ様…」
「ごめんなさい、そう言えば知ってた♪」
「……っ!?」
7691a193fb4a648e016a466d9bdc7de8_l.jpg
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。