表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

「ーーマスター…。申し訳ありません…。私が…!」
意を酌んでくれたのか、その場に留まってくれた。
苦悩の表情を滲ませながらそう言う彼に、ただゆっくり首を振って答えた。

アツシさんは、悪くない…。もっと私がしっかりしていれば……。

ーーこんな体で…あなたに好きだなんて言えない…。
言葉が…声が出なくなって、良かった。言う事も出来ないなら、仕方ないから…。
ーーでも。
好きだと云う気持ちだけは。変わらず持っていたい…。
だからせめて…かわらず側に居たい。
ーーあなたの姿を、見ていたい。
そう願いながら微笑みかける私に、彼はまた哀しそうな目を向ける。

…駄目だな…ちゃんと笑顔を向けられていないかな…。
「…マスター…。私は…私…は……!」
ふわりと体が包まれた。
一瞬びくっとしたけれど…やがて暖かさに気持ちが安らぐ。
声を押し殺したような、短い息遣いが聞こえる。

ーーアツシさん…。泣いてるの…?

暫しの間、彼の腕の中で温もりに身を任せていた。
せめてそうしている間は…、何も考えずただ、幸せを感じていられるから…。
…此処に居れば、何も怖くない…。
ーー私にとって一番、安心感のある場所。
こんな私でも…優しくしてくれてありがとう…。
暖かな胸にもたれ掛かり、うっとり目を閉じた。

ーーやがて身を離した彼は、彼らしい強くも優しげな瞳で…。
まるで自分に誓うような口調で、呟くように私に向かって言った。
「あなたは必ず…私がお守りします。何があっても必ず…」
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