表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

「ーー姉さん。それはあまり弁解になっていません」
少し離れた路地の陰からもう一人、魔術師風の男性が現れた。
色合い深くも柔らかな印象の濃藍の髪、そしてルゥさんと同じ輝きを持つ青い瞳…。
それに今、姉さんと…。この人達は、姉弟?
二人とも端正な美しい顔立ちで、訳も分からないままただ見入ってしまう。

「……ハゥルさんも……?どうして此処に?」
アツシさんが、驚いた様子で二人に問いかける。
ーーこの人も、知り合いなんだ…。
頭の中で、状況を一つずつ整理していく。
ただ傍観者になったような気分でそうしていると、二人が改めて私の方へ向き直った。

ハゥルさんと呼ばれた人が、軽くお辞儀をしながら私に告げた。
「…すみません、申し遅れました。私はハゥルと申します。それから、こちらは姉の…」
「ルゥです♪アツシさんとは、昔ずっとギルドで一緒だった仲間です。…まあ、友達ってとこなんで安心して下さいね」
最後の一言は、顔を近づけてニコッと笑い、囁くように言われた。
悪戯っ子を思わせる"可愛い"仕草に、ちょっとドキッとする。
それでこの二人はアツシさんと面識が…。
とりあえず私は二人に、会釈して挨拶を返した。

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「それで……。アツシさんが、か…、くしゃ様と旅してるって聞いて、是非お会いしたくって。今までずっと、捜してたんです!…なかなか会えなくて、今になっちゃいましたけど」
「…それは姉さんが…勝手に動き回っていたからでしょう」
「だって…ただ待ってるより早いと思って」
「付き合わされるこちらの身にも…」
「じゃあ帰れば?」
「姉さんが付いて来いと言ったんでしょう」

ーー調子の良い掛け合いに、思わず小さく笑ってしまった。

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