表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

咄嗟に、彼の体に手を掛け、共に通路の脇へと雪崩れ込んだ。
鋭い音と光が、一瞬通り過ぎる気配。

つい先まで居た場所に、炎の塊と雷撃が続けて鯊ぜた。
一瞬見えたのは、間違いなく魔法の光だった。
そしてそれを放ったのは……。

ローブを被ってはいるものの、その中身は人骨の魔物。
ーーそう、魔物だった。
暗闇に紛れ、そして距離が開いていた事で物音も聞こえなかった。
ーーアツシさんも、魔法が至近に届いて初めて気が付いたようだった。
魔法が放たれて来た方向を振り返り、厳しい表情で一度睨み付ける。

それでも、またこちらへ向き直った彼は……優しい表情を浮かべていた。
「ありがとうございます…助かりました」
驚きつつも、ほっとした。
「此処にじっとしていては危険です。さあ、こちらへ」
そして私の手を取り、力強い笑みを浮かべる。

その優しくも逞しい表情に、瞳にーー思わず釘付けられてしまう。

……ああ……。
また油断してちゃ、駄目なのに。

ーーでも、目が離せない。

「水で足元が滑りますね。お気を付けて」
手を引かれ、通路を回り込みながら。魔物の杖から続いて放たれる魔法を避ける。

ーーけれど、二度と魔法は飛んで来なかった。

「ーーよくもやってくれたわね!」
明るくも勇ましい声に続いて、びゅんと鋭い風が通り過ぎる。
まず一つ、骨が砕ける音。
「セッちゃんに何かあったら…どうすんのよ!」
続いてもう一つ、乾いた音。
ルゥさんが次々と鮮やかな動きで矢をつがえ、弓の攻撃で正確に魔物を射抜いていた。
「……って、代わりに言っといたから☆」

こちらを向いてにこっと笑うルゥさんに、何故かアツシさんが一瞬息を詰まらせた。
「ルゥさ…」
「ーーあ、何かある♪」
アツシさんの言葉を全く受け付けない様子で、ルゥさんは軽やかな足取りで魔物が居た場所へ向かう。
「ーーあ。ねえちょっと、ハゥル!」
呼ばれたハゥルさんも駆け付け、ルゥさんの元へ向かう。
そこには一つの宝箱があった。
先ずはそこから、ルゥさんが何か取り出していた。
そしてその後二人が、何か話していたかと思うと……。
揃ってこちらを振り向いた。

「…覚者様、アツシさん。こちらまで来て頂けますか」
ハゥルさんが、穏やかな微笑みで私達を促した。
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