表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

7

ーー何が起こっているのか、全く把握できない。

私に剣を向けている…あなたは…。
ーーアツシさんなの…?
だってほら、その左手の指には…。
さっき私が通した指輪が、変わらず光ってる。

なのに……どうしてそんな目で……私を見るの?
強く真っ直ぐな目をしたあなたを、優しく微笑むあなたをーー見ていたいのに。

”帰りましょう”
ーーそうすれば良かった…。

”深入りは危険です”
ーーハゥルさんだって、確かそう言っていた…。

……そう、いつだって私が……。

こんな私だから。
あなたにならーー殺されてもーー構わない。
其方の力はその程度か…」
竜の声が広間に静かに響く。
アツシさんが、私に向かって剣をゆっくり振りかぶっている。
足の傷は、動けない程ではない。
……でも……。
不思議と清々しい程に、心が穏やかになってゆく。

彼は悪くない。そして、他の誰も……。
きっとこれは、私が自ら得るべきして招いた結果。
ーーそう思えば、まだ納得がいく。
…もし、私が此処で果てるのが運命なら…。
ただ、魔物の凶牙にかかるよりはーーせめて今、彼の刃で終わらせて欲しい。

絶えず流れる涙を、そのまま拭おうとも思わず。
剣が振り下ろされる気配に、ゆっくり長く息を吐きながら目を閉じた。

急激に、私の思考にさえ割り込んで来るように。
ーー金属が強くぶつかり合う音が聞こえた。

「ちょっと‼︎ 何やってんのよ!」

……ルゥ…さん……⁈
涙の幕が張り、ぼやける視界の中。
「…簡単に諦めないで!」
ルゥさんの、的確に剣戟を受け流しながら言葉を紡いでいくその背中を。
遠目に捉えるような感覚で、黙って見据えた。
「セッちゃんが……!あなたが居なくなったら!残されたアツシさんは…?どれだけ悲しむと思うの…‼︎ 」

ーーその言葉に、ぐっと唇を噛む。
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