表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

11

「ーーーー!」
勘を手繰り、少し速足で上層へと戻ってみると。
ーー祭壇の辺りの水が引け、下層の地表が姿を現していた。
「これは…」
「…何これ…水が…?!」
「………。」
自然のものですら仕掛けの一部になっていたのだと知り、皆それぞれ、驚きが隠せないでいる。

此処の水はこの階の床面に張られたものではなく、下層を覆い隠していたものだった…。
思いのほか広い迷宮の実態が露わとなり、まだ此処での探索はほんの序の口だったのだと改めて思い知らされる。

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「……それにしても。流石と云うべきでしょうか」
辺りをゆっくり見回すハゥルさんの口から、感心とも茫然とも取れる呟きが漏れる。
そしてこちらを伺うような視線と共に、質問が流れ出る。
「どうなさいますか?……まだ探索を続けますか?それともーー」

ーー確かに、だいぶ疲れも溜まってきている。
……でも……やはり此処まで来ると、先が気になる。
ただそれは、単なる責務や興味からではなく…。

まるで私自身、見えない"何か"に惹かれるかのように。

もう少し…続けさせて下さい」
思いのまま、そう答えた。
……何か少しでも、求める知識の片鱗のような物を……。ーーそう望んで。
皆、含みはあったかもしれないけれど……一寸の間の後、黙って頷いてくれた。

ーー…我が……よ…ーー

皆に続いて歩きだそうとした時。頭の中に、またも低い声が響いた。

ーーだからこれは……なに……?
辺りを見回しても、私と仲間の皆の他は誰も居ない…。
ただ広々とした、石造りの空間が拡がるのみ。

他の皆は何も気にせず進む。
……やっぱり、私だけが……。

「……マスター……?」
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