表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

13

アツシさんとルゥさんが、休む間もなく剣や弓で魔物を着実に仕留めてゆく。
私とハゥルさんは、後方から魔法でそれを援護した。
それはきっと、短い時間ながらも……まるで延々と続くように思われた。
やがて最後の人骨が砕かれ、土へ返りーー水音の木霊する広い空間には私達だけが立っていた。

「ーー何とか掃けましたね…」
ハゥルさんが軽い溜息混じりに、辺りを一瞥する。
同時に、二人の戦士の剣を納める音が微かに岩肌に反響する。

私も、杖を納めようと手を回すーー。

杖を握る手を背に回したと思ったその時、視界が揺れた。
ーーそして、足がふわりと浮くような感覚。
……このままでは……。

「………ぅ…」
私の口から言葉にもならない声が漏れた。
目の前の景色が遮られ、暖かい感触に覆われた。

「……マスター……!」
押し殺したような、それでいて強みを帯びた声。
背に掛かる逞しい腕に、僅かに力が込められるのが解る。

……ああ…しっかりしないと……。
ーー探索を続ける事は、自分で望んだこと。
唇を噛み、細く吐いた息をぐっと呑んだ。

「……ごめんなさい……。まだ大丈……」
「帰りましょう」
すぐ上から降る彼の瞳は、隠すことなく不安の色を浮かべている。
此処へ来て何度も、こんな風に支えられているのでは無理もない。
……でも……。
「お願いします。もう少しだけ…お願い…」
跋が悪く感じながらも、何とかそれだけ伝えた。
「どうしても……、ですか」
彼の眉根がが寄り、目が細められる。
厳しい表情に一瞬の躊躇を覚えながらも、黙って肯いた。

ーー彼の手の力が、ゆっくり緩められた。
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