表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

8

階下ーー深層部には、またしても行く手に魔物達が立ち塞がる。
しかも今度は、リザードマンなど、"生きた"魔物ではなく。
剣を構えた人骨の魔物が多数、水の浸る地面から姿を現した。

「ーーええっ?こんなのまでいるの?!」
アツシさんとルゥさん、二人の戦士が剣を抜きながら駆け出す。
そしてやはり、寸分も違わず息の合った二人の剣技により、それらは次々と砕かれてゆく。
私も、援護しようと杖を手にするものの………。
この状況ではもはや、私の出る幕はないかと思われた。

その時、あたりの空気が微かに揺れ……ざわつくような気配を感じた。
何もない空間を揺らがせ、実体のない魔物が浮かんでは消える。確かあれは…。
「ーーファントム!…覚者様」
ハゥルさんの言わんとする事は分かった。
あの霊魂のような魔物には、剣の攻撃が効かない。
はい、と短く返答し、改めて杖を構えた。
そして聖なる加護を施す魔法の呪文を、歌の旋律を奏でるように揃って詠唱する。

「「武器に光を…!」」

此処へ来てーー”祈り”の術を具現出来るようになってから、少し魔法の感覚が変わった気がする。
同じ魔法を以前使った時よりも、まるで魔力が増幅されるような……。
呪文を唱える際、もっと魔法の効果を高める為の念が込められるような気がしてくる。
実際、ハゥルさんのそれと同等に眩い光を杖に纏わせる事が出来た。

……これで……!

二人で揃って杖を翳し、魔力を解放した。

ーー寒気立つ叫びを挙げ、魔物は霧散した。

様々な形で現れ出た魔物達は、一切の姿を消し……。
辺りには、また洞内に滴る水音だけが響く。

見事です」
ハゥルさんが微笑み掛けてくれた。
「…ありがとうございます」
私などよりも、遙かに高度な魔法使いであるハゥルさんに褒められると…。
ちゃんと実戦に通用する魔法が使えているのだと思えて、嬉しくなる。

「ーー覚者様はきっと…。じきにもっと、強力な魔法も使いこなせるようになりますよ」
向けられるその言葉に、自分で少し驚く。
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