表記について

・R指定表現のあるページには、(※R)を付けています。苦手な方はご注意下さいませ。
・「NOVEL1」の内容は"ポーンコミュニティ"にも載せておりましたが、本サイト掲載の際に各所加筆修正しております。

6

ーーあれから。
夢も見ない程、深い眠りに落ち、そのうちまた日が明けて…。
テントでひとり目覚めた時には、まだ誰も戻って居なかった。
ルゥさん、ハゥルさん、そして……。
……アツシさん……。

ーー私はこれから先、ひとりなの……?
不安と寂しさから、そんな考えが浮かんでしまう。
ハゥルさんの言葉を、信じない訳じゃないけれど……。

ゆっくりと、テントの外に出てみる。
ひとり見渡す風景がまるで……今までと違う世界のように見えた。

「ーー覚者殿?」
テントを出て辺りを見回していると、この関所の番をしている兵士に声を掛けられた。
何日も此処で寝床を借り、お世話になったままだった。
「ずっとお世話になってしまって……すみません」
改めてちゃんとお礼を言おうと、歩み寄り頭を下げた。
「いえ、こちらは一向に構いませんよ。……少しでもご助力出来ましたならば」

その暖かい言葉がただ有難く…もう一度お礼を述べながら頭を下げた。

ーーけれど…。
さすがにいつ皆が帰るか判らないとなると、少し気が引けてくる。
兵士に一言、ありがとうございました、と告げ…。
荷物を下げ杖を携え、街道へと歩を踏み出した。
「これから…どちらへ?」
兵士の問いかけに、私自身もはっきりとは答えられない。
……ただ……。

「ーー大丈夫です」
ただ、そう言って微笑むのが精一杯だった。

…それ以上は、胸が詰まりーー何も言えなかった。
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